チャイナロビー

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中国の意思決定

最近の中国を、党の権力が落ちた、主席の権限が削がれた、一党独裁の終焉は近い、軍部が台頭する、などと批評する日本の評論家、政治家、メディアの言論が目立つ。

一体、何を見て判断するのか?何をもってリサーチとしているのか、認識違いも甚だしい。

日本は言論の自由を認めているので何を書いても構わないが、世論に対する責任と言うものもある。

中国を語る際、日本の社会、政治をベースに比較することはナンセンスである。

まず、主席の決定に関して、端的に説明しよう。

毛沢東以来、カリスマ指導者として君臨したのは、毛沢東と鄧小平の二人だけであるが、その鄧小平ですら、二度の失脚を経験している。

そして、国家主席には、毛沢東の遺言で指名された華国鋒、鄧小平の抜擢により胡耀邦趙紫陽江沢民、同じく鄧小平の指名による胡錦濤と続いてきた。

そして習近平であるが、彼の場合は、鄧小平亡き後、江沢民胡錦濤ほか、長老らなど党幹部の合議制で決まったものだ。

日本のように、二世議員、ブランドだけで決まるとか、自身が長く続く環境でなければ立候補しないなどと言うことは考えられない事だ。

主席だけでなく、総理、副総理、いずれの指導者も、十分な経験を経て登用されている。

それと比較すると、日本の合議制は、密室での決定であり、中身も非常に薄っぺらいものだ。

正直言って、安倍総理にしても、中国の総理らが地方政府(市、県、省レベル)の長や、書記を務め、実績を積んでいるのと比較すると、全くの素人と言って良い。蓄積したのは、国民不在の政局運営と駆け引きだけだろう。