チャイナロビー

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尖閣棚上げ論争

戦後の歴代総理、政権は、国民に知らされない米国との密約が多く、今でもその後遺症を抱えていると言っても過言ではないだろう。

一方の尖閣棚上げ論争だが、先ごろ訪中した野中広務氏が見事に巻き起こしている。

1972年、時の田中角栄総理が訪中し日中国交正常化を実現した。その際、田中総理が周恩来総理に、尖閣諸島の話を持ち掛けたところ、それを議論すると、日中国交正常化が実現しなくなるため、棚上げとし後世に委ねようと言ったのが「棚上げ」の発端である。

つまり、中国も同様に領有を主張していたと言うことだ。

しかし外務省は、周恩来氏が「棚上げ」を言明したが、田中総理は鹿十(シカト)し回答をしなかったと言い張り、そのため、日本と中国の間では領土問題はないとしているのだ。

ところが、野中広務自民党幹事長は、当時の田中総理から直接電話で「棚上げ」を了承したと報告を受けたと言う。

かりにも両国のトップ同士の会話である。一方が重要なコメントをすれば、何らかのレスポンスはするものだ。外務省が言うシカトはあり得ないだろう。

実際に当時現場にいた 外務省の橋本恕・中国課長によると、田中総理は了承したようだが、記録は削除されている。外務省が削除したらしい。
もちろん、中国外交部の公文書にはしっかり残っている。

日本はご都合主義であり、既に信頼が置けない構造になってしまっている。

中国前胡錦濤主席が昨年九月に野田前総理に、尖閣国営化に反対したのは、日本が棚上げから変更したことになり、怒るのは当然のことだ。