日本国民の自覚、政府の自覚
また少し、近代史を遡ってみましょう。
歴史を知らないのか、道徳観がないのか、日本人として恥ずかしいばかりです。
ところが、当時の若槻内閣は、軍部が既に動いている事を致し方ないとし、それを閣議一致で承認、大元帥である天皇も了承してしまいました。
メディアも、権益を護らんとする軍部の行動を賞賛し、日本国民も盛り上がります。
昭和7年1月には、(第一次)上海事変が起こります。こちらも同様、陸軍の自作自演でした。
一連の事件は、全てが政府、軍部の詭弁であることが分かります。
しかし、恐ろしいのは、現代も全く変わっていないことです。
日本は自らが勝ち取った民主主義ではないためか、本当の民主化は難しいとさえ言われます。
私は民主化の根本は”リベラル”だと思います。つまり、体制に左右されない個人の考え、信念、何事にをも受け入れる社会の寛容さだと思います。
ところが日本は、世間体が一番であり世論迎合(ポピュリズム)により社会が出来上がっていると感じます。
ここで、以前紹介した永井荷風の一説を掲載します。
よ〜く噛み締めて読んで下さい。
(前文略)
そは兎もあれ日本現代の禍根は政党の腐敗と軍人の過激思想と国民の自覚なき事の三事なり。
政党の腐敗も軍人の暴行も之を要するに一般国民の自覚に乏しきに起因するなり。個人の覚醒ぜさるがために起ることなり。(以外略)
今こそ戦争総括を!
日本は戦後68年が経過するにも関わらず、ついに戦争総括なるものを行いませんでしたし、行う気配すらありません。
日中戦争、太平洋戦争に関し、侵略だの自衛だのとか、慰安婦、南京事件、東京裁判などの批評は行いますが、必要な戦争総括とは、太平洋戦争の要因や性格、日中戦争の侵略的要素、東京裁判の正当性などではなく、1910年代以降の日本の政治、財界、学会、メディア、世論そして社会のあり方を問い評価するものです。外因より内因をと言うことになります。
当時は、覇権・軍国主義時代ではありましたが、様々な要因と結果がありました。
謀略による韓国や中国への侵略
経済・外交・軍事・社会的な要素による開戦へのプロセス
戦略・戦術における責任、政治腐敗
情報操作による虚偽伝達
軍部と政治家の資質
戦時教育、軍部の横暴
国益喪失、玉砕や兵力の無駄な損失
終戦機会の、責任放棄、民間人の被害
以上、あげればきりがありませんが、いずれも全く手付かずで放置されたままです。そして、国民への説明、謝罪もありませんでした。